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お酒の感想や調べたことをチラ裏程度に

ウイスキー・スマッシュのお話

 

暑い。5月というともっとこう新緑で爽やかなイメージなんですが、暑くてジメジメ。もう梅雨に入ってるって言ってるし一体どうなってんすかね...。

季節が変わるとお酒の材料もそれなりに旬のものに入れ替わる。毎年暑くなってくると楽しみにしているのがミントを使ったお酒、これである。

”スマッシュ”が好き

ミントを使ったカクテルで一番ポピュラーなのはおそらくモヒートだろう。他にもミントジュレップやスティンガーなど調べれば色々出てくる。けれど、私が一番好きなのはウイスキー・スマッシュ。

”スマッシュ”という飲み方は日本ではあまり聞き慣れないけどアメリカではポピュラーみたいで、要するにジュレップ(スピリッツ、砂糖、ミントを混ぜたもの)の一種。スマッシュにはこれに柑橘類(多くの場合レモン)が追加されたもので、1860年台ごろか
らあるのだそうだ。

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バーボンはエライジャ・クレイグ。甘めで好き。

ウイスキー・スマッシュの好きなところ

このウイスキー・スマッシュの何が好きかというと、レモンどんっ、ミントがんっ、甘みとろっみたいに全ての要素がズドーンといっぺんに主張してくるところ。要するに大味。さすがアメリカ。

この味わいの強さが長所でもあり、調整が結構効く。キリッと飲みたい時にはシロップを減らしてもらえばよいし、一杯目にゴクゴク飲みたい時にはソーダで伸ばしてもよい。元々のアルコール度数、甘み、酸味が強いカクテルなのでこうした調整が効きやすく、スターターから締めまでこなせる万能選手という感じ。

よくあるレシピ

レシピには大まかに2通りあって、シェーカーを使うタイプとグラスで混ぜるタイプ。私がよく飲むのはシェーカーを使って混ぜたもの(お世話になっているお店ではボストンシェーカーで豪快に作っている)。スペアミント、フレッシュレモンジュース、シロップをシェーカーに注ぎ、ミントを押し下げるように優しく混ぜる。氷を入れてシェイクし、濾して氷の入ったグラスに注ぐ。

ベースとなるウイスキーはバーボン。甘めでしっかりした味わいのバーボンが相性が良い気がする。

 

これからの季節にぴったりのウイスキー・スマッシュ。ずっと飲んでいきたいと思う

タンカレーとジンのお話


バーでジンを飲むときは大抵ソーダ割りにライムを絞ったリッキーかロックをお願いする。けれどこの日はなんとなく優しいものが飲みたくて水割りをオーダーし、出てきたのがタンカレーラングプール。これが結構美味しくて好みだったので、タンカレーとジンについて少し調べてみることにした。

タンカレージンとは?

タンカレージンは1830年にチャールズ・タンカレーがロンドンのブルームズベリー地区で初めて蒸留したのがその始まり。1868年にチャールズが亡くなると息子のチャールズ・ウォー・タンカレーが受け継ぎ、第二次世界大戦で大きな被害を被るまで操業を続けた。この時一つだけ生き残った蒸留器は「Old Tom」と呼ばれ、スコットランドのキャメロン・ブリッジというところに移設されて今でも使用されているそう。

1890年台のロンドンには多くのジン蒸留所があり非常に競争の激しい業界だったため、息子のチャールズ・ウォーは生き残りをかけてゴードンジンを持つゴードン&カンパニーとの合併を画策。これによりタンカレーゴードン&カンパニーが誕生した。この会社はその後スコッチウイスキー蒸留所の連合会社であるディスティラーズカンパニー社に合流。ディスティラーズカンパニー社がギネス社に買収されると今度はギネスがグランドメトロポリタン社と合併してディアジオとなり、今タンカレーディアジオが持つブランドの一つになっているらしい。ちなみに日本の代理店はキリンとディアジオ社の合弁会社であるキリン・ディアジオ社だそうです。

タンカレーロンドンドライジン20214月から出荷停止されているとのこと。

 

そもそもロンドン・ドライ・ジンって?

そもそもロンドン・ドライ・ジンの「ロンドン・ドライ」ってなんのことだっけ?と思って調べてみたらこっちも面白かった。

1830年前後のロンドンでは「オールド・トム・ジン」というものが主流だった。オールド・トム・ジンは純度の低いアルコールの雑味を緩和するために砂糖が加えられたものだったが、同じ頃に発明された連続式蒸留機(カラム式)によって純度の高いニュートラルスピリッツを効率よく取り出す技術が確立。これをジンに応用して生み出されたのがロンドン・ドライ・スタイルで、チャールズ・タンカレーはその後主流となったドライ・ジンを開発した最初の人物の一人とのこと。

これどこかで聞いたことあるなと思ったらグレーンウイスキーの品質向上とブレンデッドウイスキーの成功の話と根っこが一緒だった。連続式蒸留機すごい。ちなみにGinという名前の由来はジュニパーベリーのオランダでの読み方(Genever:イェネーファ、ジュネヴァ)が短縮されたものとのこと。

 

タンカレーラングプールについて

さて、タンカレーの現在のラインナップはスタンダードのロンドンドライジン、小型単式蒸留器で数回にわたり蒸留されたプレミアムクラスのNo.10、そしてラングプールの3つ。

今回飲んだラングプールはマンダリンオレンジとシトロンの交配種であるラングプールライムが配合されており、「ライムの心地よい刺激とマンダリンオレンジのジューシーさを兼ね備え」ていて、「トニックウォーターとライムのスライスと楽しむのが一番だ」そうです。要はジントニックがおすすめってことですね。ラングプールでブーストしてあるのにライムスライス入れろっていうことは、香り付けはマイルドなのでしょう。たぶん。

 

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水割りにレモンを絞って

で、今回は水割りレモン入りでサーブしていただいた。当然香りはレモン寄りだけど、飲んでみるとはっきりとしたジュニパーにコリアンダーやジンジャーっぽい要素も感じられた。甘味は微かだけれど確かにあってとても柔らかくて優しい分、水割りだとレモンを入れないとやや刺激に欠けるかもしれない。そんな味わい。

次はレモンなしで飲んでみたいなー。ライムの香りが付いているのでそのままジントニックもいいし、ジンジャーエールで割って生姜味際立たせてもおもしろいかも。

値段は1000mlの平行品で2500-2600円くらいがネット最安値の相場みたい。一本あったら長く楽しめそう。

 

ジンとタンカレーのちょっとした歴史もわかったし、ジンを飲むのがますます楽しくなった。